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2010-02-10

   病院  その4  ~芥川龍之介の「河童」を読んで~

 主人公である第二十三号は芥川自身と考えていだろう。彼に見えていた世界は河童の世界だったのかもしれない。死の直前に人は一体何を考えるのか。家族のこと、友人のこと、自分の死後のこと。

 実に興味深い。この廊下にいる連中全員に聞いてみようか?

「あなたは今何を考えていますか?」って。

 だが、私が興味あるのは「他人が何を考えるのか」であって、「私自身が何を考えるのか」はあまり興味がない。あるのはきっとくやしさだけだから。絶対に後悔ではない。自分で考えて、自分で選んだ道ならば、それがどんな選択肢であっても後悔など決してしない。するのは反省。次にどうするか、ただそれだけだ。

 隣に座っていたお年寄りが診察室へ入っていった。



 さっきのページに戻る。

 
 第二十三号は学生の河童である「ラップ」に、「トック」という詩人の河童を紹介される。詩人トックはこう言った。

当たり前の生活ほど莫迦げているものはない。親兄弟とはお互いを苦しめることを唯一の楽しみにして暮らしている。家族制度は莫迦げている以上に莫迦げている。



(読み手の倫理観を壊すのが目的?それとも単なる心境の発露?)
残念ながら私にとってはどれも当たり前すぎることだった。だが、芥川が同じことを考えていることに少し安心した。彼を多少知っている人間ならば、これらが一体何に向けられたものなのかは察しがつくだろう。家族が助け合うなんていうのはただの幻想だ。それに気付いていない人間には理解し難いだろうが。



トックは第二十三号に向かって更にこう言った。

「君は社会主義者かね?」

「然り」

「では百人の凡人のために甘んじて一人の天才を犠牲にすることも顧みないはずだ。」

「では君は何主義者だ?だれかトック君の信条は無政府主義だと言っていたが、・・・・・」

「僕か?僕は超人(直訳すれば超河童です。)だ。」



この問いに対し私は未だ自分の答えを持っていない。

「百人の凡人のために一人の天才を犠牲にする。」

ダメだ・・・・私にはできない。では、逆ならばどうか。

「一人の天才のために百人の凡人を犠牲にする。」

これも・・・私にはできない。


 実に情けない話だ。きっと私はどちらを選んだところで振り返るだろう。何も犠牲にしないから何も得られない。なお、この問いを芥川自身に向けることはしない。

 診察室から車イスのおばあさんが出てきた。押しているのは・・・息子さんだろうか・・・。



トックと二十三号は、ある月の晩の帰り道に、夫婦の河童と子供の河童が夕ご飯を食べている姿を目撃する。


「ああいう家族の容子を見ると、やはりうらやましく感じるんだよ。」とトックは言う。

「あそこにある卵焼きはなんと言っても、恋愛などよりも衛生的だからね。」



(・・・・そうだと思う・・・・。)
それは理解するが、私はその卵焼きすら皿ごと捨ててしまうような人間なのだ。

そうでもしないと・・・・・・・・・・自分がもたない・・・・・・・。



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theme : 本に関すること
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2010-02-07

病院3  ~芥川龍之介の河童を読んで~

 河童というのはどういう生き物なのか書いてあった。我々がイメージする河童とそう変わりはない。手足に水かきがついていて、頭には皿がある。身長は1メートル位のものが多い。また、身体の色がカメレオンみたいに変化する。お腹にはカンガルーのような袋がついており、サイフなどはここに入れるようだ。

 また河童の世界では、人間が真面目に思うことをおかしがり、人間がおかしく思うことを真面目に言うのだそうだ。人間が正義とか人道ということを真面目に話すと腹を抱えて笑いだす。一方、河童のお産などはまるでコントである。

 父親が生まれる前の子供に対して、

「お前はこの世界に生まれてくるかどうか、よく考えた上で返事をしろ」

と尋ねます。するとお腹の中の子供は、

「僕は生まれたくありません。第一僕のお父さんの遺伝は精神病だけでもたいへんです。その上僕は、河童的存在を悪いと信じていますから。」

こう答えて、その場で堕胎されてしまうのです。


(河童の子供・・・すごいな・・・・)

 「○○さーん、○○さんいませんかー?」

看護士が大きな声で呼んだが誰も動こうとはしなかった。少し、苛立だった表情に見えた。

 一旦本を閉じ、目を瞑った。後ろで子供が母親に何かを言っているのが聞こえた。病院内の空気は細く尖っていた。ここには笑いも無い、喜びも無い。あるのは苦痛と悲しみだけ。悲しき世の再生工場なのだ。そして私も壊れたロボットの一人。再生工場といっても新品同様になるわけではない。大抵の場合はだましだまし運転するしかないのである。過去に生きた人全てがそうであったように。

 ゆっくりと目を開ける。病院の白い壁が見えた。少しイラッっときたので本を開いた。


theme : オススメの本
genre : 本・雑誌

2010-02-03

病院2  ~芥川龍之介の河童を読んで~

『これはある精神病院の患者、第二十三号が誰にでもじゃべる話である。』

書き出しはこうだ。病院?ドキリとした。私は今病院の廊下にいるのだ。

『出ていけ!この悪党めが!貴様も莫迦な、嫉妬深い、猥褻な、ずうずうしい、うぬぼれきった、残酷な、虫のいい動物なんだろう。出ていけ!この悪党めが!』

第二十三号は自分の話を終えるとこのように怒鳴りつけるのだそうだ。彼に一体何が?そして、その話の内容とは?先へ進みます。

最初の話を要約すればこうだ。

彼は山登りの最中に「河童」を見つける。そして、河童を捕まえようと必死に追いかけているうちに、穴に落ちて気を失ってしまうのだ。気がつくと、なんと大勢の河童に取り囲まれているではないか。なんでも、ここは河童の世界だという。

(・・・・どこかで聞いたような話だと思った。)

続けます。

河童の世界は発展していた。それこそ人間だけが発展するのではないと言わんばかりに。彼は河童の医者「チャック」に看病されることになる。穴に落ちた際に身体を強く打ったらしく、あちこちが痛むのだ。そのうち彼が追いかけた河童も見舞いにやってきた。「バッグ」という漁師だ。バッグの話によれば、人間が河童の世界に迷い込むことは度たびあるのだという。

(なるほど、おもしろい。)

河童は河童の言葉を話す。現に彼が河童に囲まれていた時などは「Quax Quax」と言っていた。しばらくやっかいになるのだから、彼は河童の言葉を習うことにした。先生は医者のチャックや漁師のバッグである。彼はすぐに話せるようになった。

『Quax,Bag quo quel quan?(おい、バッグ?どうしたんだ)』



病院のアナウンスがなった。「315番でお待ちの方は診察室へお入りください。」違う。私は336番だ。



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