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2010-01-09

女生徒



 こんにちは、sazaeです。今回ご紹介するのは、太宰治の「女生徒」です。また、太宰かよという方はごめんなさい。私は太宰の作品の中で二番目に好きです。中身は、一人の少女の心境を一日中えんえんと書き綴ったものです。若い女性の一人称で描かれていますので、とっても小気味いい文章だと私は思います。あちこちに話が飛んだりしますけど。

 主人公の少女「私」は女生徒。学校にお勉強に行きますし、家事の手伝いだってします。家族は父母と姉がいたのですが、父は亡くなってしまい、姉は結婚して嫁いでしまった。残されたのは「私」と「母」の二人だけ。その少女の朝起きてから、夜寝るまで(本当にその通りなんです)を書いたものです。

 女性の方は共感できる部分もあるかと思います。一見、矛盾するような意見が両立していたり。矛盾してしまっても、それを強引に押し通したり。脈絡がないことがかろうじて繋がったりと、細い橋を渡り継いでいくような話口調はとても新鮮です。また、言葉一つ一つの中に、ハッとさせられる部分も多くあります。そういう部分は、つい何度も読み返してしまいました。


登場人物

私・・・学校に通う女生徒。母と二人で暮らしている。

母・・・私の母。夫を失ったが一生懸命生きようとしている。


感想

 言葉一つ一つが軽いようで、重い。いや、軽い言葉の中に重い言葉が混じってくるんですね。だから、それを目の当たりにした瞬間、ああ・・・とため息が出てしまう。私が特に気になった部分を上げますと、



 庭の原っぱで、おねえちゃん!と、半分泣きかけて呼ぶ他所の子供の声に、はっと胸を突かれた。



「私」はまだまだお姉ちゃんにあまえたかったのです。しかし、お姉ちゃんにはもう子供もいるのであまえられない。我慢するしかない。そういう気持ちが痛いほど伝わりました。

他には二匹の犬が登場します。そのうちの一匹、足の悪い「カア」への気持ちに関しては、読んでいて非常につらくなりました。私は犬好きではありませんが、この気持ちは嫌です。そういうことからは眼をそらしたくなります。そこを太宰が表現しているのにはまいりました。(決して良い気分ではありませんが)

 この本で、思春期の女生徒の気持ち、のぞいてみませんか?


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2010-01-02

富嶽百景



 あけましておめでとうございます、sazaeです。今回ご紹介するのは、太宰治の「富嶽百景」です。みなさんは富士山を直に見たことはありますか?私は遠くにうっすらと見た程度で、もちろん登ったことなどありません。今回の「富嶽百景」は、太宰治が師匠である井伏鱒二の招きで、山梨県の御坂峠にある茶屋に滞在していた頃のお話になります。なっ・・・御坂ですって・・?師匠である井伏鱒二さんは、なんと1993年までご存命だった方です。小説家の方々は決して遠い時代に生きていたわけではないんですね。

 「富嶽百景」の主人公は「私」と書かれており、これはもちろん太宰本人のことです。また、井伏鱒二が実名で登場します。太宰はこの井伏氏の招きで山梨に来たのですが、目的はただ富士山を見ることだけでなく、お見合いをするためでもありました。実際、太宰は石原美智子と結婚しており、これらの記述も登場します。しかし、なんといっても主役は富士山でしょう。日本一の山。美しい山。

フジヤマ、ゲイシャ、ハラキリショー。

すいません、少しバグりました。とにかく、主役は太宰でも、井伏氏でもなく、富士山です。そして、あの名言。

 富士には月見草がよく似合う

以前、本のご紹介をしていたときに、コメントで質問されたことがありました。その時にお答えしたのが、今回ご紹介している「富嶽百景」です。



内容


 東京でつらい思いをした太宰。その後、富士のよく見える茶屋へとやって来る。ここでは師匠の井伏鱒二が仕事をしている。そして、太宰もこの茶屋に滞在することになり、毎日のように富士と対峙することになる。

 しかし、太宰はこの「富士」がどうにも気に入らない。数々の名画に書かれている富士は飛びぬけて高く、その圧倒的な迫力が伝わってくる。しかし、実物を見てみるとてんで大したことはない。のっぺりと横に広く、大変みっともなく思った。しかし、最初はそんな風に思っていた太宰も、長く富士を見続けて様々な情景と触れ合う内に、富士の魅力を少しずつ認めていくようになる。特に、月見草に関しては。


登場人物


私(太宰治)

 師匠である井伏鱒二に招かれて山梨県にやって来た。富士の良く見える茶屋に滞在することになる。お見合いをするためでもあった。

井伏鱒二

 太宰治の師匠。この茶屋で仕事をしている。今回は彼が太宰を招いた。


感想

 富士山といえば、日本人で知らない人はいない山です。しかし、それを実際に見もしないのに、美しいと思っている人もいると思います。そういった人々への皮肉、そして太宰自身への皮肉になっていると思います。それが本当に淡々と描かれていきます。とてもお茶目な文章なども所々に織り交ぜられているので、とても笑えます。文章自体もそれほど長くありませんので、一時間もあればじっくり味わえるのではないでしょうか。

 私が特におもしろかった所は、井伏氏と太宰が三ツ峠に登った時の場面です。井伏氏はちゃんと登山者の格好をしているのに対し、太宰は何の準備もしていなかった。


井伏氏は、人のなりふりを決して軽蔑しない人であるが、このときだけはさすがに少し、気の毒そうな顔をして、男は、しかし、身なりなんか気にしないほうがいい、と小声で呟いて私をいたわってくれたのを、私は忘れない。


一富士、二鷹、三ナスビ。お正月に一冊、「富嶽百景」どうでしょうか?



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2009-12-06

走れメロス




 こんにちはsazaeです。今回ご紹介する本は太宰治の「走れメロス」です。前々回は絶望のどん底まで沈み込む「人間失格」をご紹介しましたが、今回の「走れメロス」は太宰の希望を垣間見ることができる作品です。人間失格のあとに読むと、本当に同一人物が書いたのか、と思ってしまうほど作風が異なっています。(いや同じだろうという方は、私の文章を最後まで読んでいただければ幸いです)
 「走れメロス」は国語の教科書にも載っていますので、知っている方も大勢いらっしゃると思います。私は小学校の時に、「走れメロス」を文化祭か何かで演劇をした覚えがあります。私の役は、クラスメイト何人かと一緒に川の役だったかと思います。どんぶらこどんぶらこ・・・・それは桃太郎ですね。ごうごうだったかな?
 「走れメロス」は太宰31歳の頃の作品で、1940年に発表されたものです。とても読みやすく、イメージもしやすい。また、道徳的なことを言っています。国語の教科書にはうってつけといえるでしょう。



登場人物

メロス・・・村の羊飼い。結婚を控えている妹がいる。その準備のために町にやってきた。

セリヌンティウス・・・町に住んでいるメロスの友人。メロスの代わりに人質になる。職業は石工。

ディオニス・・・国王。人間不信のため、多くの人間を処刑している


内容

 メロスには結婚を控えている妹がいて、その結婚の準備のために町にやってきた。しかし、どうも町の様子がおかしい。メロスはその原因が国王にあることを聞く。国王は人間不信のために、多くの人間を処刑しているのだそうだ。メロスは激怒し、国王を暗殺することを決意する。だが、逆に捕まってしまい、メロスは処刑されることになる。
 しかし、どうしても妹に結婚式をあげさせてやりたいメロスは、友人のセリヌンティウスを人質として差し出すことを条件に、三日だけ待ってもらように申し出る。国王は「戻ってくることはないぞ」と笑いながらいい、メロスを帰らせた。
 メロスは家に戻り、無事、妹に結婚式を挙げさせる。そして、自らが殺されるために、友人セリヌンティウスの待つ城へと走りだすのである。


感想

 「人間失格」を読んだあとにはいい口直しになると思います。(笑)普通に読まれる方でも、文量が少ないので簡単に読めます。最終的にはハッピーエンドになる辺りは、個人的に好きです。
 国王はおそらく太宰本人だと私は思っています。人間不信。これは人間失格のときでも主人公、葉蔵がそうでした。最初に述べた説明で、「人間失格」と「走れメロス」は私は全く違う作風だと言いましたが、根本的な所ではやはり同じだと感じました。表現方法が多少違い、書いた時期が異なっていたからというのもあるでしょう。

 「走れメロス」を書いた時に、太宰の心の中には、まだ、人間への希望が残っていたということなのでしょう。でなければこの話をハッピーエンドで終わらせるはずはありません。いくらでも悪いシナリオにできますしね。

 太宰がバッドエンドにしなかった理由、それをこの本を読んでぜひ感じてみてください。


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2009-11-29

人間失格



こんにちはsazaeです。今回ご紹介する本は太宰治の人間失格です。言わずと知れた太宰治の名作、「人間失格」。文学をあまり読まれない方でも、「人間失格」という響きだけで興味を持たれる方もいるのではないでしょうか。最近出版されたものでは、表紙画をデスノートの小畑健さんが書かれたものもあります。上のがそれです。
 
 太宰治の代表作には「人間失格」の他に、「桜桃」、「走れメロス」、「ヴィヨンの妻」、「斜陽」、「女生徒」等々があります。その中でも特に異彩を放っているのが、この「人間失格」でしょう。ひたすら破滅へと向かっていく姿はまさに太宰、といってもいいのではないでしょうか。(これが全てとは決して言いませんが)

 太宰治は「人間失格」を書いた後に自殺しています。愛人の山崎富江と共に玉川へ入水したのです。そして二人の遺体が発見されたのは太宰の誕生日である、6月19日でした。この日は現在「桜桃忌」として知られ、太宰の墓がある三鷹の禅林寺には、多くの愛好家が訪れるそうです。最近は若い人が多いそうな。

 太宰治が生きたのは1909年から1948年で、明治に生まれ、大正、昭和に生き、戦後に散った作家です。戦争終結の1945年以降も生きていたことまでは、私自身も知りませんでした。ところで、気がつかれた方もいらっしゃると思いますが、この文章を私が書いているのは2009年。ちょうど今年で太宰誕生100周年になります。そのためか、「ヴィヨンの妻」が映画化されるそうです。今後他にもいろいろ出てくるのでは?と勝手に予想してみます(笑)


内容

 人間失格は全三部構成になっています。正確に言うと、この三部の前後には、はしがきとあとがきありますが、文量はごく僅かです。主人公である葉蔵の写真と手日記から物語は始まっていきます。

 第一の手記

 東北の名士の下に生まれた主人公、葉蔵。家は裕福と言っていい。家族は十人位いて、葉蔵はその末っ子。葉蔵は小さい時から他人の考えが理解できずに苦しんでいた。それは自分の幸福の観念と、他人の幸福の観念が全く異なっているように感じたからだ。葉蔵は自分の頭がおかしいのかと思い悩んでしまい、とても隣人と会話をすることができない。人間への恐怖心があったからだ。
 そこで考え出したのが「道化」だった。
 なんでもいいから、笑わせておけばいいのだ。表面上はにこやかな笑顔を作り、笑いをとる。内心は油汗流しての、必死のサービス。家庭内はもちろん、それは学校においても同様だった。

 第二の手記

 相変わらず、内心では人間への恐怖心を抱えたまま、「道化」として人を欺き続けていた葉蔵。中学に入り、その演技にも磨きがかかってくる。しかし、体育の時間に一人のクラスメイトにその演技を見破られ、葉蔵は震撼する。「ワザ。ワザ」
 その後、東京の高等学校に入り、悪友の堀木に酒、煙草、淫売婦を教えられる。それらは、葉蔵の人間への恐怖心を、たとえ一時的にではあっても紛らわせることができるものだった。更には、左翼思想などにも手を出した。そうした中、葉蔵はツネ子という銀座のカフェの女性と入水自殺を図る。しかし、葉蔵だけが生き残ってしまう。

 第三の手記

 入水自殺の件で学校を放り出された葉蔵。その後も子持ちのシヅ子、バーのマダムなどとも関係を持ち、酒浸りになりさらに破滅への道を突き進んでいく。しかし、その頃に葉蔵に酒を辞めろと進める女性が現れる。自分よりも若く、人を疑うことをしらない無垢な乙女。名前はヨシ子。彼女と一緒にいることで、葉蔵は自らの人間への恐怖心を克服できそうな気がしていた。そして、二人は結婚する。
 だが、幸せな結婚生活は長くは続かない。家に出入りしている商人にヨシ子が犯されてしまうのだ。絶望した葉蔵は酒を浴びるように飲み、ついには睡眠薬で自殺を図ります。しかし、またしても死に損ない、この一件で葉蔵の体はめっきり弱っていく。
 そして、東京に大雪が降った日、ついに葉蔵は喀血する。薬を求めて立ち寄った薬屋の女性に、酒は体に良くないから、その代わりにモルヒネを使うように勧められる。また、その薬屋の女性とも関係をもつようになる。最終的には実家の連絡を受けた男と堀木がやってきて、病院へ行こうと言われる。

 連れて行かれたのは、脳病院でした。

・・・人間・・・失格・・・・


感想

 もう、救いようがありません。落ちる、堕ちる、墜ちる。人間失格です。酒、タバコ、風俗、女性関係、金銭関係、自殺未遂、そして麻薬、脳病院。しかも、最初から絶望させるのではなく、徐々に確実に転がり落ちていき、最後の最後に見出した希望すらも奪われる。圧倒的な絶望。どうしようもない絶望。ここまで行ってしまったらもう、あきらめるしかないのです。太宰の作品の中でも、この絶望感は圧倒的です。
 「人間失格」は太宰の自伝的な小説とも言われています。太宰治が自殺したということも、この作品にすさまじい絶望感を与えていることは、決して否定できないと思います。

 究極の絶望はやっとみつけた希望が絶望に変わる瞬間。

 さあ、究極の絶望を特とご覧あれ。



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