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2009-12-13

第十六回

シロ「ニャハハハハ、ニャンですかこれは~。ヒッヒッヒ。このメロスはおもしろいですニャ~。」

主「・・・・・・・・」

シロ「ご主人は未だにパソコンの世界ですか。ニャニャ?現代版走れメロスの後にもう一枚紙が・・・



どうでしたかセンパイ~。私、がんばっちゃいましたよ~。
センパイを笑わせたら、一日中、センパイを私の自由にしていいって約束でしたよね。
もう本気の本気出しちゃいましたっ。絶対笑いましたよね?ね?
これで笑わないなんて、そんなのありえません。先輩にどんなことお願いしよっかな~。

でも~、もしこれで先輩が笑わなかったら・・・・私・・・私・・・・・ますます燃えちゃいますっ!(^v^)
あっ、顔文字キライでしたね。でもでも、私がんばったんだから、これくらいいいですよね!
今度感想聞かせてくださいっ。
                                              あなたのカワイイ後輩より


シロ「・・・・・・・・・ニャンですかこれはーーーー!!!・・・・ど、どういうことですかニャ。心臓がバクンバクンいってますニャ。落ち着け、落ち着くですニャ。これは恋文とかいうやつですかニャ。しかも、明らかにご主人当てですニャ。・・・・・・私というものがありながら、他の女にうつつを抜かすとは・・・・・私としては、これは重大な決断をせざるを得ませんニャ。・・・・・・・この手紙は・・・ご主人に見せるわけにはいきませんニャ(キラーン)。幸いなことに、今、ご主人はパソコンの世界ですニャ。その間に・・・ゴミ箱にポーイ、ですニャ。クックック」

主「・・・・・・・・・」

シロ「気の毒ですが、この後輩ちゃんには退散願いますニャ。(ニヤリ)フッフッフ・・・。戦う相手が悪かったということですニャ!。グッバァイ!!」

主「フー、やっと終わった・・・・」

シロ「な!?ニャ!?」

主「お前はそこで何をやっているんだ?」

シロ「べ、別に何もしてませんニャ。」

主「その咥えている紙は?」

シロ「こ!これはですね^_^;・・・・・・・・そう、新しいダイエットですニャ~。」

主「貸してみ(サッ)」

シロ「ニャオン!、し、しまったですニャ。」

主「へーこれで笑ってダイエットしてたわけだ。(ニコニコ)」

シロ「そーなんですよ!ご主人!もうおかしくっておかしくって・・・」

主「お前晩メシ抜きな」

シロ「そ、そんニャ!あんまりですニャ==」

主「・・・・・・・・・」

(それからご主人は、黙々と「現代版走れメロス」を読み始めましたニャ。ご主人の何が恐ろしいかと言えば、晩ゴハンを抜かれたことよりも(もちろん、それも十分に恐ろしいことではありますが・・・・)「現代版走れメロス」を読み終わる時まで、ただの一度も、ピクリとも笑わなかったことですニャ・・・・)


次回更新は12/15
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2009-12-12

現代版 走れメロス4

 私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは夢だ。夢オチだ。忘れてしまえ。五臓が疲れている時は、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。メロス、お前の恥ではない。やはり、お前は真のニートだ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい!私はニートとして死ぬことができるぞ。ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれベアトリーチェ。私は生まれた時からニートであった。ニートのままにして死なせて下さい。
 路行く人を押しのけ、蹴飛ばし、メロスは黒い風のように走った。道端にいる酔っ払い達の、まっただ中を駆け抜け、若者たちにKYと罵られながら、猫をなで、神田川を「いっけぇええ」と飛び越え、少しずつ沈んでいく太陽の、三倍も早く走った。三倍も・・・。

 一団の学生とさっとすれ違った瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。

「今頃は、あのニートも死刑台に登っているよ。」

ああ、そのニート、そのニートのために私は今こんなに走っているのだ。そのニートを死なせてはならない。急げ、メロス。遅れてはならなぬ。オタク文化と萌えの力を、今こそ知らせてやるがよい。ハンドルネームなんかはどうでもいい。メロスは、今は、ほとんど全裸体であった。呼吸もできず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向こうに小さく、A葉原の萌え看板が見える。看板は、夕陽を受けてきらきら光っている。

「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞こえた。
「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。
「フィロストラトスでございます。貴方のお友達、セリヌンティウス様の弟子でございます。」
その若いニートも、メロスの後について走りながら叫んだ。
「もう止めて!あなたのライフはゼロよ!あの方をお助けすることはできません。」
「まだだ!俺のターンはまだ終わっちゃいない。」
「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。お怨み申します。ほんの少し、もうちょっとでも早かったなら!」
「はなせ!」

メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。

「止めてください。走るのは、止めてください。今はご自分の命が大事です。あの方は、貴方を信じておりました。死刑台に引き出されても、平気でいました。総理が○ーゼン○イデンの良さを説明しても、いや、○法少女リ○カル○のはの方がいい、とだけ答え、強い信念を持ち続けている様子でございました。」
「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。ついて来い!フィロストラトス。」
「ああ、貴方は気が狂ったか。それではうんと走るがいい。ひょっとしたら間に合わぬものでもない。走るがいい。」

 言うには及ばぬ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽くしてメロスは走った。メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。陽はゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。

「待て。そのニートを殺してはならぬ。メロスが帰って来た。約束の通り、今帰って来た。」

と大声で刑場の群衆に向かって叫んだつもりであったが、群衆は誰一人として、彼の到着に気付かない。なるほど、そうきたか。すでに死刑台が用意されていた。しかし、ロープが見当たらない。なぜだ・・・。走るメロスは、死刑台の近くに総理ディオニスを発見する。その手元には・・・・

(デスノートだとッ!?)

 もう一刻の猶予もない。メロスはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆をかき分け、かきわけ、

「私だ、刑吏!殺されるのは、私だ。メロスだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」とかすれた声で精いっぱいに叫びながら、ついには死刑台に登り、友の両足に齧りついた。群衆はどよめいた。ざわ・・・ざわ・・・。セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。

「セリヌンティウス。」メロスは眼に涙を浮かべて言った。「私を殴れ。力一杯に頬を殴れ。私は途中で一度悪い夢を見た。君がもし私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」

セリヌンティウスは、全てを察した様子で首肯き、

「オラオラオラオラッ!!!」

刑場いっぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑み、

「メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生まれて初めて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」

「無駄無駄無駄無駄ァ!!!」

メロスは腕に唸りをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。

「ありがとう、友よ。」

二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。

群衆の中からも歔欷(きょき)の声が聞こえた。総理ディオニスは、群衆の背後から二人の様子を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめてこう言った。

「お前らの望みは叶ったぞ。お前らは、わしの心に勝ったのだ。萌えとは、けっして空虚な妄想ではなかった。どうか、わしも仲間に入れてはくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、お前らの仲間の一人にしてほしい。」

ざわ・・・ざわ・・・と群衆の間にどよめきが広がった。

「ば・・万歳!・・・ニート万歳!!・・・・」

警官が緋のマントをメロスに捧げた。メロスは、まごついた。良き友は、気を利かせて教えてやった。

「メロス、君は真っ裸じゃないか。早くそのマントを着るがいい。このお巡りさんはメロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」

ニートは全く悪びれもせずにこう言った、

「裸になって何が悪い」

   終


お読みいただき、ありがとうございました。次回からは通常通りです。
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2009-12-10

現代版 走れメロス3

 私は今宵、殺される。殺されるために走るのだ。身代わりの友を救うために走るのだ。総理の奸佞(かんねい)邪知を打ち破るために走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、ネットの世界よ。若いメロスはつらかった。幾度か自転車をこぐのを止めそうになった。「イヤだ、死にたくない!」そう何度も思った。しかしその度に、えい、えいと大声を挙げて、自身を叱りながらこぎ続けた。

 町を出て、交差点を横断し、公園をくぐりぬけ、隣町に着いた頃には、雨も止み、西の空には大きな夕日が現れていた。メロスは額の汗をこぶしで払い、ここまでくればもう大丈夫。もはや故郷への未練は無い。イモウト達はきっと良い夫婦になるだろう。私には今、何の気がかりも無いはずだ。(花婿にあげるといったフィギュア、特にシャアザクに関しては若干惜しいことをしたと未練はあったが)真っすぐに総理官邸に行き着けば、それでい~のだ。そんなに急ぐ必要もない。「ゆっくりしていってね!」と、持ち前の、のん気さを取り返し、アニソンをいい声で歌いだした。

 自転車から降りて、だらだらと2m行き、3m行き、そろそろA葉原への半ばに到達した頃、降って湧いた災難、メロスの足は、はたと止まった。見よ、前方の隅田川を。昨日の豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々(だくりゅうとうとう)下流に集まり、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が木端微塵に辺りのビルを吹き飛ばしていた。彼は茫然と立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、「助けてくださ~い」と呼び立ててみたが、フェリー船はひっくり返っているわ、自動車は流されているわで、助けてくれる人など一人もいなかった。自衛隊は一体何をやっている。流れはいよいよ膨れ上がり、男泣きに泣きながらオヤシロさまに手を挙げて哀願した。

「ごめんなさいごめんなさい、ああ、どうか鎮めてください、荒れ狂う流れを!時は刻々と過ぎていきます。太陽が沈んでしまわぬうちに、総理官邸へ行き着くことができなかったら、ギルドメンバーが私のために死ぬのです。」

 濁流は、メロスの叫びをせせら笑うか如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽りたて、そうして時は、刻一刻と消えていく。今はメロスも覚悟した。泳ぎきるより他に無い。鷹宮神社の加護よあれ!濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、今こそ発揮してみせる。愛用の自転車、メロスMk-2にチェーンを掛けると、メロスはざんぶと隅田川に飛び込み、百匹の大蛇のようにのたうち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。
 満身の力を腕にこめて、押し寄せる渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきとかき分けかき分け、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、オヤシロさまも哀れと思ったか、ついには憐憫(れんびん)を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸のビルにすがりつくことができたのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先を急いだ。一刻といえども、無駄にはできない。陽は既に沈み込む寸前だった。ゼイゼイ荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼりきって、ほっとしたのもつかの間、突如として、目の前に警官隊が躍り出た。

「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに総理官邸へ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ち物を全部置いていけ。」
「私には命!の他には何もない。その、たった一つの命!も、これから王にくれてやるのだ。」
「その命!が欲しいのだ。」
「な・・なんだってーー!?さては、総理の命令で、ここで、私を待ち伏せしていたのだな。」

 警官達は、ものも言わず、一斉に棍棒+1を振り上げた。メロスはひょいと身体を折り曲げ、飛鳥の如く身近の一人に襲い掛かり、その棍棒を奪い取って、

「ニートの力をなめるなよ。」

と、猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、他の者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駆け下りたが、さすがに、疲労し、幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩歩いて、ついにはがくりと膝を折った。立ち上がることができぬのだ。天を仰いで、悔し泣きをした。

 ああ!濁流の隅田川を泳ぎ切り、警官を三人も打ち倒し韋駄天、ここまで突破してきたメロスよ!真のニート、メロスよ!今、ここで、疲れきって動けなくなるとは情けない。愛する友は、お前を信じたばかりに、やがて、殺されなければならぬ。お前は稀代の人間不信、まさに総理の思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。
 公園のベンチにごろりと寝転がった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、ニートにお似合いな、不貞腐れた根性が胸いっぱいに広がった。私は、これほど努力したのだ。約束を破る心はみじんも無かった。オヤシロさまも照覧、私は精いっぱいに努めてきたのだ。う・ご・け・な・い、位走って来たのだ。

 できる事なら、私の胸を截ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたい。オタク文化と萌えだけで動いているこの心臓を見せつけてやりたい。けれども私は、この大事な時期にHPもMPも尽きたのだ。私はよくよく不幸な男だ。私はきっと2ちゃんのネタにされる。中途で倒れるのは、始めから何もしないのと同じことだ。ああ、もう、どうでもいい。これが私の定った運命なのかも知れない。カーぺパラ(セリヌンティウスのハンドルネーム)よ、許してくれ。君はいつも私を回復してくれた。私は一度も回復しなかった。私達は本当に良いギルドメンバーだったのだ。我々は一度だって、アイテムの所有権を巡って争ったことはなかった。今だって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、カーペパラ。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。オタク文化はこの世で一番誇るべき宝なのだからな。

 カーペパラ、私は走ったのだ。君を欺くつもりは微塵も無かった。信じてくれ!私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流の隅田川を泳ぎ切った。警官隊の包囲網を突破した。私だからできたのだよ。ああ、これ以上私に望み給うな。放っておいてくれ。どうでも、いいのだ~。私はニートなのだ。だらしがない。ニコニコしてくれ。総理は私に、ちょっと遅れて来い、と耳打ちした。遅れたら身代わりを殺して、私を助けてくれると約束した。私は総理の卑劣を憎んだ。けれども今になってみると、私は総理の言うままになっている。私は遅れて行くだろう。総理は一人早合点して私を笑い、そうして、2ちゃんねるにありのままを書き込むだろう。you tubeに動画をうpされるかもしれない。そうなったら、私は死ぬよりもつらい。私は永遠にログアウトだ。地上で最も、不名誉な人種だ。カーペパラよ、私もログアウトするぞ。君と一緒にログアウトさせてくれ。君だけは私を信じてくれるに違いない。いや、それも私の独りよがりか?ああ、もういっそニートとして生き延びてやろうか。町には私の家がある。羊はいない。イモウト夫婦はまさか私を家から追い出すようなことは・・・・やりかねん・・・・。

 正義だの、真実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。「所詮この世は弱肉強食、強ければ生き、弱ければ死ぬ。」それが人間世界の定法ではなかったか。ああ、なにもかもばからしい。私は醜いニートだ。どうとも、勝手にするがよい。やんぬるかな。四肢を投げ出して、うとうと、ラリホーマにかかったかのように眠りだした。

 ふと耳に、缶コーラを開ける音が聞こえた。そっと頭をもたげ、息をのんで耳をすました。(ゴク ゴク ゴク)よろよろ起き上がってみると、五歳位のツインテールの女の子がコーラを飲んでいる。なんと、近くには自販機があった。急いでサイフを取り出す、ケータイと紙幣は水でダメになってしまったが、硬貨は無事だった。300円でポーションを買い、乾いたノドに流し込む。すると、ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。HPの回復と共に、わずかながら希望が生まれた。義務遂行の希望である。日没までにはまだ間がある。私を待っている人がいるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人がいるのだ。私は信じられている。私のハンドルネームなどは問題ではないのだ。死んでお詫び、などと気のいいことは言っておられぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。今はただその一時だ。

 走れ!メロス!


「ねーねーお母さん、どうしてあの人ハダカなの?」
「シッ!見ちゃいけません。」

次回、「感動の最終回」お楽しみに




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2009-12-09

現代版 走れメロス 2

 メロスは一睡もせず100mの道を急ぎに急いで、自分の町へ到着した。メロスの十六のイモウトは、今日は兄の代わりにRPGの経験値稼ぎをしていた。イモウトはよろめいて歩いてくる兄の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。

「何でも無い。」メロスは無理に笑おうと努めた。
「A葉原に用事を残してきた。また、すぐにA葉原に行かなければならぬ。今すぐにお前の結婚式を挙げる。今すぐにだ。早い方がよかろう。」

イモウトは頬を赤らめた。

「うれしいか。綺麗な衣装も買ってきた。さあ、町の人たちに知らせてこい。It's a show time と。」
 メロスはまたよろよろと歩きだし、神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの眠りに落ちてしまった。

 しかし、メロスは目が覚めた。起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を今すぐにしてくれと頼んだ。婿のサラリーマンは驚き、それはいけない、こちらには未だ何の支度もできていない、コミケの季節まで待ってくれ、と答えた。メロスは待つことは出来ぬ、どうか今すぐにしてくれたまえ、と更に押して頼んだ。婿のサラリーマンも頑強であった。なかなか承諾してくれない。議論を続けて、やっとどうにか婿をなだめすかして、説き伏せた。結婚式が行われた。

 イモウトはメロスが買ってきたメイド服に身を包み、新郎と共に神々への宣誓をすませた。すると、黒雲が空をを覆い、ポツリポツリと雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していたご近所さんは何か不吉なものを感じたが、陽気にアニソンを歌い、アニメのキャラクターのモノマネをした。中でも特にウケたのが、隣のパン屋のおじさんが○ードギアスのゼ○の格好をして現れたことだ。一瞬本物かと思ってしまった。
 そんなこんなで、メロスもしばらくは王とのあの約束をさえ忘れていた。メロスは一生このままここにいたい、と思った。この人達と生涯暮らして行きたいと願ったが、今は自分の身体で、自分のものではない。ままならぬことである。メロスは我が身に鞭打ち、ついには出発を決意した。

 日没にはまだじゅうぶんの時がある。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものがある。メロスは歓喜に酔っているらしいイモウトに近寄り、

「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。目が覚めたら、すぐにA葉原に出かける。大切な用があるのだ。もうお前には優しい亭主があるのだから、決して寂しい事はない。お前の兄の一番嫌いなものは、働くことと、肉体労働と、集団行動と、パソコンを使えないようなド低能だ。お前もそれは知っているね。亭主との間に、どんなフラグも作ってはならぬ。お前に言いたいのはそれだけだ。お前の兄はたぶん偉い男なのだから、お前もその誇りを持っていろ。

 イモウトは夢見心地でうなずいた。メロスはそれから花婿の肩をたたいて、

「支度の無いのはお互いさまさ。私の家には宝といっても、フィギュアとパソコンだけだ。他には何もない。全部あげよう。もう一つ、メロスのオトウトになったことを誇りに思ってくれ。」

 花婿は揉み手して照れていた。メロスは笑ってご近所に会釈して、宴会から立ち去り、部屋に引きこもって死んだように深く眠った。

 そして目が覚めた。メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫。これからすぐに出発すれば、約束の刻限までにはじゅうぶん間に合う。今日は是非とも、あの王に、人の真実の存するところを見せてやろう。そうして笑って処刑台に登ってやる。気分はゴールド・ロジャーだ。「この世の(以下略)」。メロスは悠々と身支度を始めた。雨も幾分小降りになってきている。身支度はできた。メロスはぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢のごとく走り出た。自分愛用の自転車に乗って・・・

次回、「襲いくる強敵」お楽しみに。




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2009-12-07

第十五回、「現代版走れメロス」(太宰ファンのみなさんごめんなさい)

シ」ロ「みなさんこんにちは。今日も明日も本の虫、第十五回ですニャ。」

主「・・・・・・・・・」

シロ「ご主じ~ん、始まってますよー。」

主「・・・・・・・・・」

シロ「ダメですニャ。パソコンの世界に行ってしまわれましたニャ。画面がものすごいスピードで切り替わって、もう何をしているのかさっぱりわかりませんニャ。ご主人に試しに頭突きをかましてみますニャ。」(トシットシッ)

主「・・・・・・・・・」

シロ「反応がありませんニャ。ただの屍のようですニャ。仕方ない、今日の説明は私一匹で・・・・ニャニャ!?玄関に何か落ちていますニャ。」

シロ「白いレターセットにピンクのハート。こっ・・・これはもしや!!・・・・・・(ガサゴソ)ムムッ!?・・・・・・現代版走れメロス?・・・ニャンですかこれは・・・」


                        現代版 走れメロス

 メロスは激怒した。必ずかの邪知暴虐の総理を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスはニートである。パソコンをたたき、RPGをして遊んで暮らしてきた。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明、メロスは自分の町を出発し、100メートルも離れたこのA葉原にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気なイモウトと二人暮らしだ。このイモウトはとある健気なサラリーマンを近々花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近なのである。メロスはそれゆえ、花嫁衣装やら祝宴の御馳走やらを買いに行けと、イモウトに命じられたのである。パシリである。

 まず、その品々を買い集め、その後町をぶらつくことにした。メロスにはネトゲ友人がいた。セリヌンティウスである。今もこのA葉原でパソコンに向かっていることだろう。そして、「経験値たまらね~」などとぼやいているに違いない。その友人を訪ねてみるつもりなのだ。リアルでは久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにメロスは息切れがしてきた。運動不足だからだろう。そういえば外に出たのも久しぶりだ。
 
 そしてふと気がつく。ひっそりしている。もう既に日も落ちてきて、町の暗いのは当たり前だが、けれども、なんだか夜のせいばかりでは無く、町全体がやけに寂しい。のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。塾帰りの小学生を捕まえて、何があった、二年前にこの町に来たときには、夜でもオタクが歌を歌って、町は賑やかだった筈だがと自論を展開したが、小学生は一目散に逃げ出した。しばらく歩いて、今度は老人に出会い、今度はもっと語勢を強くして質問した。老人はシカトぶっこいた。メロスは両手で老人の体を揺さぶって質問を重ねた。老人は辺りをはばかる低声で、わずかに答えた。

 「総理は、人を殺します。」
 「なぜ殺すのだ。」
 「悪心を抱いているというのですが、誰もそんな悪心を持ってはおりませぬ。」
 「たくさんの人を殺したのか。」
 「はい、--を。それからーーーを。それからーーーを。」
 「驚いた、総理はご乱心か。」
 「いいえ、乱心ではございませぬ。人を信ずる事ができぬ、というのです。今日は六人殺されました。」

 聞いて、メロスは激怒した。

「呆れた総理だ。生かしておけぬ。」

 メロスは単純な男であった。買ったばかりのオタクグッズを持ったままで総理官邸に入っていった。警備員は一体何をしていたのだろう。メロスは総理を見つけ、駆け寄る。がしかし、彼はたちまちSPに組み伏せられた。調べられて、メロスのリュックからはドラクエソードが出てきたので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは総理の前に引き出された。

「この短刀で何をするつもりであったか。言え!」総理ディオニスは静かに、けれども威厳をもって問い詰めた。
「A葉原を総理の手から救うのだ。」
「お前がか?」総理は憫笑した。
「仕方の無いやつじゃ。お前にはわしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」とメロスはいきり立って反論した。
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。総理は、市民の支持をさえ疑って居られる。」
「人間は私欲の塊さ。信じてはならぬ。」総理は落ち着いて答弁し、ふっと溜息をついた。
「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
「なんの為の平和だ。自分の地位を守るためか。」今度はメロスが嘲笑した。「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」
「だまれニート。」総理はさっと顔を挙げて報いた。
「口ではとんな清らかなことでも言える。お前だって、今に死刑台に上がってから泣いて詫びたって聞かぬぞ。」

「ああ、総理は利口だ。自惚れているいるがよい。私はちゃんと死ぬ覚悟でいる。命ごいなど決してしない。ただ・・・」と言いかけて、メロスは足元に視線を落とし瞬時ためらい、
「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三分だけ待ってください。たった一人のイモウトに、亭主を持たせてやりたいのです。三分のうちに、私はイモウトに結婚式を挙げさせ、必ずここへやって来ます。」
「ばかな。」と総理はしわがれた声で低く笑った。
「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「そうです帰ってくるのです。」メロスは必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を、三分だけ許してください。イモウトが、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、このA葉原にセリヌンティウスというニートがいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いていこう。私が逃げてしまって、三分後の日暮れまで、ここに帰ってこなかったら、あの友人を絞め殺してください。頼む。そうしてください。」

 それを聞いて総理は、残虐な気持ちでほくそ笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰ってこないに決まっている。この嘘つきに騙されたふりをして放してやるのも面白い。そうして身代わりの男を三分後に殺してやるのも気味がいい。人はこれだから信じられぬと、わしは悲しい顔をして、その身代わりの男を絞首刑に処してやるのだ。世の中の正直ものとかいう輩にうんと見せつけてやりたいものさ。

「願いを聞いた。その身代わりを呼ぶがいい。三分後の日没までに帰ってこい。遅れたら、その身代わりをきっと殺すぞ。ちょっと遅れて来るがよい。お前の罪は永遠に許してやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。命が大事だったら、遅れてこい。お前の心はわかっているぞ。」

 メロスは口惜しく、地団駄を踏んだ。ものも言いたくなくなった。
 ネトゲ友人、セリヌンティウスは総理官邸に呼びだされた。総理ディオニスの面前で、ギルド名、チーム・パラソルの二人はリアルで二年ぶりに再開した。メロスは友人に一切の事情を語った。

「なー頼むよ。このとーり。三分だけでいいんだ。」
「俺これからウロボロスの山行かねーとアイテムとれないんだけど。」
「そこを何とか。そうだ、戻ってきたら○野屋の牛丼おごってやるからさ。」
「おごるって言っても、戻ってきたらお前死んじまうんだろ?」
「大丈夫だよ。そこはなんとかなるって、なっ?頼むぜ相棒。」
「ちぇっ・・・しょうがないな・・・・」

セリヌンティウスは文句一つ言うことなく、快く引き受けた。友と友の間はそれでよかった。セリヌンティウスは縄打たれた。メロスはすぐに出発した。初夏、満天の星空である。

次回、「あなたの宝物は何ですか?」お楽しみに。




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プロフィール

sazae

Author:sazae
シロの飼い主。

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「あなたは機械の気持ちが解っていない。」
と言われたこと。

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